2012年4月18日水曜日

心臓弁膜症サイト / 外科手術について


機械弁の選択基準について教えてください。

家族が弁置換術を受け、機械弁を植え込みました。
機械弁にもいくつか種類があると思いますが、病院ではその中からどのような基準で植え込む弁を選択するのですか?

現在、日本では数種類の機械弁が販売・使用されていますが、どれを使用するかは基本的には外科医の判断に任されています。ただし、極端に患者さんの弁のサイズが小さいなどの特殊なケースでは、選択の幅は狭くなってきます。なお、実際に植え込まれた機械弁の製品名については、主治医にご確認いただければと思います。

80歳の母が、大動脈弁狭窄症の手術を勧められました。手術を受けても問題ないでしょうか?

80歳の母のことで相談いたします。6年前に、二尖弁の大動脈弁狭窄症と診断されてから、定期検査と薬で経過を見ていたのですが、心カテーテル検査をした結果、主治医に手術をしたほうがよいと強く勧められました。
母は身長150cm、体重43kg。骨粗しょう症もあり、体力もあまりないため、手術に耐えられるか心配です。高齢者の手術について教えてください。

お母様のこと、ご心配のこととお察しいたします。
単純に年齢だけから申し上げますと、80歳は手術可能な年齢です。手術技術の向上と医療機器の発達により、心臓外科手術に耐えられると考えられる年齢は徐々に高くなっています。また、手術が可能かどうかは、患者さんの年齢に加え全身の状態なども考慮して決定します。
主治医はおそらく、お母様を診察された結果、手術に耐えうるだろうと判断して勧められたのだと思います。お察しの通り、手術に伴うリスクはありますが、納得がいくまで先生と話をされて、決定されてはいかがでしょう。患者さんの全身状態に問題がなければ、80代の方でも、手術後も順調に回復し、すみやかに退院できるでしょう。

手術を受けた場合、不規則で忙しい仕事を続けても大丈夫でしょうか?

先日、主人が「ひどいめまいがする」と言って倒れました。幼い頃から、弁膜症だと診断されていて、総合病院の先生からは、めまいは風邪と弁膜症の両方が原因であるとの診断を受けました。また、「心肥大が進んでおり、60代の心臓の大きさ」であるため、早急に専門医の検査を受けて手術を行った方がいいと言われました。
しかし、仕事を休める見通しがなかなか立たないため、とりあえず薬の処方を受けています。手術は必ず受けてほしいと思っていますが、その場合、非常にハードで時間も不規則な現在の仕事を続けられるのか危惧しております。
一般的に完全に仕事復帰するには術後約3ヶ月かかるとのことですが、不規則な仕事の場合にもそれはあてはまるのでしょうか?
また、よくお酒を飲むのですが、機械弁と生体弁のどちらが適していますか?


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ご主人のこと、ご心配だろうと思います。
まず、手術を受けた後に現在の仕事を継続できるかどうかですが、復帰自体は可能です。術後は、一時的に休む必要がありますが、ご主人は年齢も若いので復帰に要する時間も比較的短いと思われます。
次に、人工弁の選択についてです。機械弁は生体弁より耐久性が高いとされていますが、機械弁を植え込んだ後には、血液を固まりにくくするワーファリンというお薬を服用し、定期的な検査を受けることが必要となります。ワーファリンは規則正しい時間に服用しなければなりません。また、飲酒はその作用に影響を与えます。
一方、生体弁は術後一時的にワーファリンが必要となるものの、継続的な服用は不要です。ただし、生体弁は経年劣化するため、将来的に再手術を行う可能性は高いと言われています。ご主人の年齢から考えると、再手術はおそらく避けられないでしょう。
このように、機械弁と生体弁にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、術後にどのような生活を送りたいかをよく考慮して選択することが大切です。
ご主人のお仕事がハードで不規則とのことですので、まずは「どの弁が、どのようにどの程度悪いのか」をきちんと診断してもらう必要があります。

将来、低侵襲手術法で再手術を受けることは可能でしょうか?

私は、今年で61歳になります。先日、大動脈弁狭窄症のため生体弁の弁置換術を受けました。
将来、低侵襲手術法で弁置換の再手術を受けることは可能でしょうか。

現在行われている低侵襲手術法で、弁置換の再手術を受けることは困難でしょう。心臓手術の場合、初回手術の際に開胸した箇所の組織が癒着を生じるため、再手術の際はその癒着をはがして理想的な視野をつくらなければなりません。しかし、低侵襲手術法では通常より小さな切開で手術を行うので、癒着等の問題を解決することが困難になります。
現在、一般的に行なわれている開胸手術による弁置換再手術の危険性は、非常に低くなっています。そのため現時点では、再手術を敢えて低侵襲手術法で行なうことはないと思われます。しかし、今後医療技術の発展により、少しでも侵襲性の低い方法による再手術が可能になる時が来るかもしれません。

心臓肥大が進行していると診断を受けました。
適切な手術のタイミングを教えてください。

現在、父が大動脈弁閉鎖不全症を患っています。3年程前から近くの病院で検査をしているのですが、先日の検査結果から弁置換の手術が必要であると診断されました。しかし、父はこの手術を行うことに対して大変迷っています。というのも、現在日常生活を送る上で、疲れや動悸、息切れ、胸痛発作という自覚症状が全くなく、現在何ら支障なく日常生活を送ることができているからです。

3年前に実施した検査結果は、左室の収縮末期内径が39.7mm、拡張末期内径が59.9mmでした。一方、今回は、収縮末期内径が51.9 mm、拡張末期内径が71.9 mmで、心臓の肥大が進行しているとのことです。今、本当に手術する必要性があるのかどうか、ご意見をお聞かせ頂けるでしょうか。


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大動脈弁閉鎖不全症の場合、手術の必要性は、弁の逆流の重症度だけではなく、心臓の左室機能や左室拡大の状況を見て判断します。
心臓は肺から送られてきた血液を、左心室でいったん貯め、収縮すると同時に全身に送り出しています。心機能が正常かどうかは、このとき何パーセントの血液が駆出されるか(左室駆出率)を調べることで分かります。左室駆出率が50%以下になると、心機能が落ちてきている、と判断します。
また、左心室の拡大が進行しているかどうかは、日本では下表のようにBSA(体表面積)に対応した指標が使われています(「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」2002年版より)。

  左室収縮末期内径 左室拡張末期内径
体表面積(BSA) 1.4m2 1.7m2 2.0m2 1.4m2 1.7m2 2.0m2
高度左室拡大(mm) >48 >52 >55 >65 >70 >75
中等度左室拡大(mm) 43〜48 47〜52 50〜55 60〜65 65〜70 70〜75
軽度左室拡大(mm) <43 <47 <50 <60 <65 <70

将来的に心機能に障害を残さないために、心臓の左室機能(左室駆出率)が正常の範囲内で、かつ左室拡大が高度にならないうちに手術を受けておくことが、長い目で見ると患者さんのQOLに貢献することが実証されています。お父様は特に自覚症状がないということですが、ご担当の医師は心機能の状態や全身状態などから総合的に判断して、手術を勧めていらっしゃるのかと思います。もう一度、具体的な理由をお聞きになってはいかがでしょうか

術後の精神状態について教えてください。

61才の父が、心臓の弁置換術を受けました。手術の翌日に、自分の状況を理解できずにずいぶん興奮していたそうです。その次の日には病院から連絡があり、父がICUパニックになったとの事で、母に病院に泊まるよう指示がありました。幻覚や幻聴があり、おかしな事を口走っているようです。

手術後このような症状が出るものなのでしょうか? インターネットで検索してみると「パニック障害」という病気を見つけたのですが、この事なのでしょうか?
家族として、どのように接してよいのか分かりません。また、このまま治らないのか心配で相談させていただきました。

ご心配理解できます。しかし、心配無用です。これは我々医師の間ではICU症候群と呼ばれるもので、よく見られる一時的な精神状態の混乱です。障害も決して残りません。一般病室に戻ると必ずもとのお父様に戻ります。また、御本人はICUで混乱していたことについておそらく何も覚えておられません。どのように接してわからないとのことですが、そっとしておいてあげるしかないと思います。再度になりますが、かならず治るのでご心配なく。

高齢で、パーキンソン病を患っています。
弁膜症の手術を受けても大丈夫ですか?

母が家の近くの病院を受診したところ、弁膜症と診断されました。80歳と高齢で、パーキンソン病の持病もあります。医師からは、手術をしても2年しかもたないと言われたようで、本人も家族も心配しています。何か良い治療方法はありませんか?


現在では、80歳でも弁膜症の手術を行うことはあります。年齢は単純に患者さんの身体状況を示すものではありません。手術を行うかどうかは、その時点での全身状態や社会的背景、患者さんご本人とご家族の意思などをもとに、総合的に判断して決めます。
また、弁膜症の手術を行うかどうかを判断する際に、パーキンソン病であることは関与しません。ただし、パーキンソン病では転倒など外傷を受けやすいと思いますので、人工弁の選択をされる際に、継続的な抗血液凝固療法が必要になる機械弁は選択されない方が良いかと思います。
また、手術をして余命2年という根拠が不明ですが、どの弁がどの程度悪いのか、お母様の現在の心機能などによって手術後の状態は変わってくると思われます。

生体弁の再手術には、危険が伴うのでしょうか?

大動脈弁閉鎖不全症のため、5年前に生体弁の弁置換術を受けました。現在は、仕事や軽いスポーツをするなど、日常生活は支障なく過ごしています。心配なのは、生体弁の寿命による再手術のことです。再手術の方が、初回の手術よりも危険を伴うものなのでしょうか?

経験のある外科医による執刀であれば、大動脈弁の再手術による危険度は初回手術とほとんど差がありません。病院によって手術成績は変わりますが、ご参考までに最近海外で発表された論文によると、初回手術の危険度が3%で、再手術の危険度は5%という成績が報告されています。私自身の経験でも、大動脈弁における弁膜症の再手術は特に危険という印象もありません。
近年では、外科医の技術の向上と同時に、麻酔、人工心肺、心筋保護、術後管理などの技術も進歩しています。そのため最近では、弁膜症の手術においても、初回手術より再手術の方が手術時間が短く回復も早いということも珍しい話ではありません。
生体弁の劣化はゆっくり進みますので、ご相談者にとっての「適切なタイミング」について、担当医の方とじっくりご相談なさってください。

手術を受けることで、術後のQOLは向上するのでしょうか?

80歳の父のことで相談させていただきます。20年前から患っている僧帽弁閉鎖不全症がここ1〜2年で急に悪化し、肺水腫による息苦しさや下肢のむくみ、不眠症が生じたため、入院しました。心臓カテーテル検査とエコー検査の結果、医師より弁形成術もしくは弁置換術を勧められています。また、僧帽弁だけではなく、三尖弁も傷んでいるそうです。
父は高齢であり、長年にわたる高血圧や脳梗塞等の既往もあるので、手術を受けるかどうか迷っています。人工心肺に耐えられるのかということや、手術後にどの程度、生活の質を保つことができるのか等、心配しています。私としては、自分で身の回りの事ができて、近所の散歩や美術館を車椅子で楽しめる程度になるなら、手術に踏み切ったほうが良いのではないかと考えています。ご助言をお願いします。


現在では80歳の方でも心臓手術を行うことは珍しくありません。
担当医は、お父様の年齢や脳梗塞、高血圧の既往等のリスクを考慮しても、手術をした方が症状は改善してQOL(=生活の質)を向上することができると判断され、手術を勧めておられるのかと思います。
また、お父様の場合は、僧帽弁閉鎖不全症の悪化による心不全を起こされているのだと思います。心臓弁の閉鎖不全が悪化すると、心臓に負担がかかり血液を送り出す機能の低下やうっ血が生じます。このように弁膜症が原因で引き起こされる心不全の症状は、心臓弁を外科的に治療することによって改善することが見込まれます。たいへん勇気が必要になるかと思いますが、手術をするのであれば早めに決断をされることをお勧めします。

僧帽弁閉鎖不全症の再手術について

15年前に僧帽弁閉鎖不全症と診断され弁形成術を行いました。その後も通院を続け、6年後には心房中隔欠損が指摘され、不整脈発生回数も年々増えてきています。先月カテーテル検査を行なったところ、3年前に比べ悪化はないようですが、逆流のレベルは3.3と多く、担当医からは再度の手術を薦められています。

2度目の手術の危険性を考えると、当然再手術はしたくありません。
最近一部の病院で行なわれているというポートアクセス法による手術は、報道記事を拝見したところでは、身体に対する負担も軽いように思われるのですが、私のような再手術の場合にも適用可能なのでしょうか?  また、弁置換術となった場合、生体弁/機械弁どちらを選択するべきか、など大変悩んでいます。

15年前の僧帽弁形成術実施時がどのような状態であったか明確ではありませんが、文面から判断すると、基本的には再手術を受けられることをお勧めします。再手術は執刀医が十分経験のある外科医であれば危険性が高いということはありません。また再手術でも形成術ができる可能性もありますから、担当の先生とまず再手術の方法について十分に話し合ってください。

弁置換術が必要となった場合には、生体弁か機械弁かという選択があります。その際に考慮していただきたいことは、あなたが手術を受けた後、どのような生活を送りたいかということです。
今まではご自身の弁だったため、食事制限や日常の生活についての制限がなかったかと思います。しかし再手術で機械弁を選んだ場合、ワーファリンの内服という抗凝固薬療法を生涯にわたり続けなければなりません。この薬は毎日服用しなければならず、調節が適切でないと、血栓塞栓症、出血のリスクが高まります。また、効果を一定にするため、薬の効果に影響を及ぼす可能性がある様々な食物摂取の制限が発生したり、血が固まりにくくなることから、外傷を受けやすい運動、仕事などを控えなければならなくなります。

一方、生体弁は機械弁のように厳格な生活制限は一般的にありませんし、ワーファリンの服用が原則的には必要ありませんから、血栓塞栓症や出血のリスクは低くなります。しかしながら、経年的に弁が劣化していくという短所があり、再度の手術を必要とする確率が機械弁に比べて高くなります。

次に、ポートアクセス法による手術は、低侵襲のため早期の術後回復を可能とし、術後感染リスクや疼痛も軽減します。右肋間の小切開から肺をよけて心臓に到達しますので、再手術で肺の癒着が激しい場合、この方法がとれない可能性があります。
慶応義塾大学附属病院のホームページではポートアクセス法について解説しています。


タバコがやめられません。手術は可能ですか?

心臓手術で喫煙は大きな問題になります。
タバコのニコチンやタールは気管支の粘膜を慢性的に刺激するため、手術後に咳やたんが多くなり、気管支炎や肺炎を引き起こしたり、手術後に気胸になることもあります。

禁煙して4〜6週間経つと細くなっていた細気管支が広がり、気管支の繊毛運動も活発になるため、術後の鎮痛剤投与が減ったり、喀痰排出が楽になります。
安全に手術を受ける為には禁煙が必要です。入院中はもちろん喫煙できませんので、入院と同時に禁煙するのではなく、早めの禁煙が必要です。

※ここに掲載しております疾病情報は、あくまで一般的な解釈に基づいた内容であり、個々の患者さんのケースに必ずしも合致するとは限りませんので、あらかじめご了承ください。



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