りけるけの北ルソンだより: 01 北ルソン点景
バギオ市から南へ車で1時間ほど下ると、かつて金鉱で栄えたバラトック鉱山がある。バギオ市近郊の鉱山としてはこのバラトック鉱山に加え、やや東のゴールドフィールド鉱山、さらに車で大きく1時間ほど南に下ったフィレックス鉱山などがある。他の鉱山もそうかもしれないが、バラトック鉱山の場合、1990年のバギオ大震災を期に鉱山会社が倒産、現在は個人や家族単位による採掘、いわゆるプライベート・マイニング、ポケット・マイニングが行われているだけだ。
このバラトック鉱山の地域に仕事で行く機会があった(関連記事は姉妹ブログ『北ルソンの若葉マーク』の「金鉱の村の無口な優しさ」を参照のこと)。一時は栄華を誇っていた地域が、今はすっかりひなびてしまい、各所に廃墟が残る村々と化してしまっているのだが、それでも人々は、厳しい生活・労働環境の中、歯を食いしばりながらたくましく生きている。
このバラトック地区、鉱山の村々という、現代の日本人にはなかなかなじみのない地域ということもあり、何かと珍しい光景が多い。以下、写真とキャプションをご覧ください。
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傾斜の急な山の斜面に挟まれた峡谷沿いに伸びるバラトック鉱山。
写真はバラトック方面からアクーパン方面を望む。
急斜面には、このように鉱夫たちの家が点在する。この写真にも
見えるように台風の土砂崩れなども襲い、きわめて危険。1990年の
大震災時には、坑道の落盤などで多くの犠牲者を出した。
採掘してきた小さな岩の数々は、このような砕石機で砕き、精製する。
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精製には化学薬品が用いられる。このように、排水はそのまま川に
垂れ流す。これは、いちおう一度、貯水することによってろ過している
ということなのだろう。さすがにこの川で泳いでいる子どもたちは見ないが、
他州を流れる下流では、その水で洗濯や食器の洗浄などはしているはずだ。
そうでなくとも街灯など無く、酔った夜道ではうっかり足を滑らせかねない。
子どもが落ちないかどうかも心配だ。
各家庭に乱雑に引かれた水道のホース。水源は山のかなり高い部分の泉に
取っているので、位置エネルギーで、階は関係無く配水されるようだが、
あまりに場当たり的な無秩序さに、日本人としては肝を抜かれる。
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その同じ建物には、見ての通り、BSアンテナが設置されている。が、
どうだろう、ルソン島の北部とはいえ、赤道にほど近いフィリピンで
あの角度だと、衛星をキャッチするどころのものではないはずだ。
この建物の中にある教会の看板。こともあろうか、最近のバランガイ選挙に
出馬した候補者の、投票御礼のビラが貼ってある。万人にわかるものではない
マウンテン・プロビンス州の言葉であるところがまたオツだ。「私たち」が
"taku"と"u"で綴られており、かつ「ありがとう」が"salamat"と"l"で綴られて
いることから、同州西部の北カンカナウイ語だろうか。同州東部では後者が
"r"になり、ベンゲット州の南カンカナウイ語では前者を"o"で綴る傾向にある。
山の斜面のわずかな土地を利用して、闘鶏用のシャモ(のはず)が飼われている。
バラトック鉱山近郊全景。左手の山の中腹に広がるのがダリクノ、中央奥に浮かび
上がるようにあるのがアクーパン、その下がバラトック、右手中腹がビラック。
いずれも農地は少なく、一攫千金の金鉱採掘に賭ける、経済的には厳しい地域だ。
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