「1時間当たりGDP」を指標に:勝間和代のクロストーク - 毎日jp(毎日新聞)
今回は、「1人当たり・1時間当たりのGDP(国内総生産)」を政策目標に取り入れることを提案します。1年間の国民1人当たりのGDPを国民1人当たりの平均労働時間で割ったものです。現在、日本は39ドルですが、欧米各国並みの50ドルを目標にするのです。
単純にGDPを増やすだけでは達成は難しく、GDPを増やしつつ、労働時間を減らしていかないとできません。この指標は国全体の生産性・競争力を高めるために大変重要な数値です。なぜなら、ワーク・ライフ・バランスの充実度が、人材開発の充実度に関係してくるからです。
例えば、フランスと日本の1人当たりGDPはそれぞれ3万3835ドル、3万3737ドルとほぼ同じです。しかし、これを労働時間当たりにすると、フランスは54・8ドル、日本は39・4ドルと大きな差が生まれます。フランスは同じ金額を年間平均617時間の労働で実現しているのに、日本は856時間を必要としているためです。
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米シカゴ大学の山口一男教授は、RIETI(経済産業研究所)に発表した論文「労働生産性と男女共同参画」の中で、OECD(経済協力開発機構)諸国を比較した場合、国民1人当たりGDPと男女共同参画度合いを示すGEMの間には統計的有意な相関関係はありませんが、これを国民1人当たり・1時間当たりGDPにすると相関があることを示しました。
つまり、短い労働時間で効率的に利益を出している国ほど労働時間が短く、ワーク・ライフ・バランスが整っており、男女共同参画が進みやすいという分析結果を示しています。ノルウェー、オランダ、デンマーク、スウェーデン、スイス、イギリス、フランス、アメリカなど男女共同参画の上位国の1時間当たりのGDPは50ドル前後かそれ以上です。
山口教授は日本企業についても分析し、ワーク・ライフ・バランスを重視して、かつ、女性の能力開発に熱心な企業は生産性・競争力とも高い、という結果を示しました。
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すなわち、人材開発という視点から考えると、長すぎる労働時間は主に出産・育児を担う女性が企業で活躍する機会を妨げ、それがミクロレベルでも企業の生産性・競争力にマイナスになり、国全体としての生産性・競争力の足かせになっていると解釈すべきだと考えます。
日本のGDP総額は世界第3位ですが、1人当たりGDPは欧米の同等程度の経済発展を遂げている国々に比べて小さいと言われてきました。1時間当たりの生産性を意識することで、これまでの量だけを追った目標ではなく、生活の質についての目安が生まれるのではないでしょうか。
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それを実現するためには、例えばEU(欧州連合)各国のように労働時間規制を取り入れることも一つの案だと考えます。排ガス規制や省エネ規制によりさまざまな技術的イノベーションが可能になるように、労働時間規制により企業活動で労働時間規制に合わせた工夫が生まれることでしょう。環境問題やCO2(二酸化炭素)問題に配慮することを考えたら、労働時間を減らすことで無駄なエネルギー消費を抑えることに効果があると考えます。
労働時間全体は年々減少していますが、非正規雇用の社員が増えたためであり、必ずしも正社員の労働時間は減っていません。デフレ下において正社員の給料は下方硬直性があるため、残業がつかない社員の労働時間を増やすことで実質的な賃金の引き下げ圧力があるためです。
企業や国全体の生産性・競争力を高めるために、企業単位でも、国単位でも、1時間当たりの付加価値額を目標に入れることを提案します。(経済評論家)
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